アクセンチュア最新調査――多くの企業がクラウドによる価値創出に苦戦を続けていることが判明
2021/02/22
25%の企業は、クラウド移行時に想定外の複雑な課題に直面
【ニューヨーク発:2020年11月16日】
アクセンチュア(NYSE:ACN)の最新調査によると、多くの企業は長年にわたって、クラウドへの投資効果の最大化に注力してきたにも関わらず、依然として価値創出に苦戦していることが分かりました。
アクセンチュアは、最新調査レポート「Sky High Hopes: Navigating the Barriers to Maximizing Cloud Value」の作成にあたり、日本を含む17カ国、11の業界にわたる大企業の上級役職者およびIT担当役員750人を対象に調査を行いました。その結果、「クラウドへの投資で期待される価値を十分に生み出している」と回答した企業は37%に留まり、アクセンチュアが2018年に行った調査と比べて、割合が2%しか増えていないことが判明しました。
クラウドによる価値創出がこれまで以上に重要視されている中、クラウドが生み出した価値に「大変満足している」と回答した企業は45%に留まり、2018年と比べてわずか1%の増加となりました。さらに「クラウドに移行したことで、必要な時に期待通りの価値を提供できると確信している」と回答した企業は、29%に留まりました。
一方、本レポートでは、クラウド移行の規模が大きくなるにつれ、多くの成果が生み出されているという点を紹介しています。クラウドを大規模に導入している企業のうち、46%が「期待通りの成果を出すことができた」と回答しましたが、この割合は、クラウドの導入が中規模であった企業では36%、導入が小規模であった企業では28%となりました。
企業の多くは、直面している主要な課題を乗り越え、新たなビジネス機会や価値の創出に向けて迅速かつ俊敏に変革を進めるためには、クラウドが不可欠であることを認識しています。本レポートによると、企業の上級役職者のうち、80%が「不確実性のリスクを軽減する手段としてクラウドに注目している」と回答しました。また、87%が「クラウドは、自社のサステナビリティに関する目標を達成するために不可欠な要素である」と回答しました。
アクセンチュア クラウド ファーストのグローバル責任者であるカーティク・ナライン(Karthik Narain)は、次のように述べています。「クラウドは変革を進める上で、自社のビジネスを再定義し、従業員の専門性や創造性を高めるだけなく、サステナビリティの取り組みを強化し、利害関係者に新たな価値をもたらす際の強力な基盤となります。しかし、あらゆる企業がクラウドの潜在的な価値を最大限に享受できているわけではありません。今回の調査によって、クラウドの価値創出に成功している企業の割合は、2年間で微増に留まっていることが分かっています。クラウドへの投資効果を最大化するためには、全社を挙げて計画的に取り組むことが欠かせません。今後、新型コロナウイルス感染症が終息した後においても競争に打ち勝つためには、クラウドを前提とした事業運営を行うクラウドファーストの戦略を打ち出し、あらゆるビジネス領域に対して早急にクラウドを導入することが必要です」
本レポートでは、企業のクラウド活用を妨げる障壁についても考察されています。調査対象となった最高経営責任者(CEO)の中では、「スキル不足が障壁」(54%)との回答が最も多い結果となりました。すべての調査対象者の中では、「セキュリティとコンプライアンスのリスク」(46%)が最多で、続いて「レガシーのインフラストラクチャやアプリケーション」と「IT部門とビジネス部門の連携不足」がそれぞれ40%となりました。
さらに今回の調査によって、CEOは、クラウドがもたらす成果や懸念に関して、他の上級役職者と大きく異なる考えを持っていることが判明しました。例えば、CEOの54%は「自社は、必要な時に期待通りにクラウドの価値を提供できる能力があると確信している」と回答したのに対し、最高情報責任者(CIO)は34%、最高財務責任者(CFO)は28%となりました。
アクセンチュア クラウド ファーストのカーティク・ナラインは、次のように付け加えています。「今回の調査によって、企業がクラウド移行によってビジネス価値の最大限を図るためには、複雑な問題が障壁として存在していることが分かりました。一方で、成果を中心に据えたクラウド戦略の策定や、適切な専門家との連携、生産性強化に向けた従業員のスキル向上などテクノロジー以外の課題への対処を進めることで、企業は求めている成果や投資効果を生み出すことが可能になります」
企業がクラウドの価値を最大限に引き出すためには、働き方の根本的な見直しや、新たな運用モデルへの移行、新たな役割やスキルのあり方の定義がカギとなります。本レポートでは、主な対策として以下の4つを推奨しています。
- ビスネス価値を中心に据えた戦略:社内の意思決定者と連携しながら、広範なビジネスケースに基づいて最適なクラウド戦略を策定し、収益増とコスト効率化の機会を特定することが肝要です。
- 従業員や企業文化のチェンジマネジメント:新しい運用モデルに加え、スキル向上や人材育成のプログラムを行うことにより、従業員の働き方を変革し、急速に変化するニーズに対する対応力を強化することが欠かせません。
- データとAI:クラウドデータモデルを構築することで、レガシーシステムに蓄積された業界や業務に関するデータや知見を活用することが重要になります。
- 成功に向けたパートナーとの連携:戦略パートナーのスキルや経験を活用して、自社組織の機能強化を図することが欠かせません。クラウドサービスは、コスト効率を維持しつつ、適切なスキルを構築したい企業にとっては、有効な選択肢の一つとなります。
本調査は、アクセンチュア クラウド ファーストの設立後に行われたものです。アクセンチュア クラウド ファーストは、クラウドによるデジタル変革を支援する専門組織で、あらゆる業界のお客様がクラウドを前提に事業運営を行う「クラウドファースト企業」となり、変革を通じてイノベーションを迅速に生み出し、差別化をもたらす価値を継続的に創出できるよう、首尾一貫したクラウドサービスを提供しています。同組織には7万人のクラウド専門家が所属しています。アクセンチュアは、クラウドに関する豊富な知見、各業界に特化したクラウドソリューション、パートナーとのエコシステムを通じて、お客様が圧倒的なスピードと規模でクラウドの価値を享受できるよう、今後3年間で30億米ドルを同組織に投資します。詳細については、www.accenture.com/jp-ja/services/cloud-indexをご覧ください。
アクセンチュアについて
アクセンチュアは、デジタル、クラウドおよびセキュリティ領域において卓越した能力で世界をリードするプロフェッショナル サービス企業です。40を超える業界の比類のなき知見、経験と専門スキルを組み合わせ、ストラテジー&コンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズサービスを、世界最大の先端テクノロジーセンターとインテリジェントオペレーションセンターのネットワークを活用して提供しています。アクセンチュアは51万4,000人の社員が、世界120カ国以上のお客様に対してサービスを提供しています。アクセンチュアは、変化がもたらす力を受け入れ、お客様、社員、株主、パートナー企業や社会へのさらなる価値を創出します。
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