アクセンチュア、サプライチェーンのレジリエンスを評価するストレステストの開発でマサチューセッツ工科大学と協業

2020/11/17

大規模な混乱期におけるグローバルサプライチェーンの対応能力を事前評価する新基準を策定し、事業の敏捷性向上と不確実性の克服を支援

【ニューヨーク発:2020年10月26日】

アクセンチュア(NYSE:ACN)とマサチューセッツ工科大学(以下MIT)は本日、大規模な市場の混乱や災害、その他の危機によって引き起こされる事業や財務面へのリスクを評価する「サプライチェーン・レジリエンス・ストレステスト」の策定で協業することを発表します。本協業では、2008年の金融危機後に金融業界に義務付けられたストレステストを参考に、サプライチェーンのレジリエンス(危機から立ち直る力)をデータに基づいて戦略的に評価する指標を業界基準として定めることを目指しています。

本ストレステストは、サプライチェーン、オペレーションおよびアナリティクス領域におけるアクセンチュアの広範な専門知識とデータサイエンス領域におけるMITの世界トップクラスの研究能力を組み合わせ、サプライチェーンのレジリエンスを共通の指標で数量化することを目指します。これにより、企業はサプライチェーンの潜在的な課題を素早く特定できるとともに、関連して起こり得る財務リスクを評価し、適切な移行戦略や対策の策定が可能となります。本ストレステストで用いられるシナリオは標準化されているため、企業は民間・公共部門にかかわらず、競合他社などとの比較を踏まえながら、自社のレジリエンスを評価することができます。

本ストレステストは、絶えず進化を続けるサプライチェーンの状況を踏まえ、市場の変化や顧客の期待に応えられるように適宜拡張または適応可能な設計となっています。アクセンチュアとMITとの協業の枠組みには大手食品会社のシグマ社も参画しており、同社の欧州子会社であるカンポフリオ社を通じ、自社のサプライチェーンでストレステストを実施し、有用な情報や知見の提供に協力しています。

シグマ社の欧州拠点でサプライチェーン部門を統括するフェルナンド・イバラ(Fernando Ibarra)氏は次のように述べています。「国際的に広く事業を展開する企業として、当社はどのような混乱が生じても常にお客様に安定的に商品を供給する必要があります。新型コロナウイルス感染症による影響に対処するためには多大な努力を要しましたが、その過程でサプライチェーンの領域では事前に掌握すべき弱点を発見しました。この画期的なプロジェクトを通じて、アクセンチュア、MITと協力を図りながら潜在的な弱点を特定し、サプライチェーンのレジリエンスのさらなる強化を目指していきます」

本ストレステストではまず、企業のサプライチェーンにおける「デジタルツイン」(実在する生産設備などをデジタル空間に再現させて、ツイン(双子)のように連動させる仕組み)の作成から着手します。これにより、顧客や株主、従業員および社会に対して大きな混乱をもたらし得るさまざまなシナリオを組み合わせたモデリングによって企業の対応能力を測ることが可能となります。想定シナリオには、突発的な需要の増減、主要な取引先もしくは施設の閉鎖、原材料の調達難、あるいは主要港湾施設の被災などが含まれます。また、本ストレステストでは、混乱発生後にサプライチェーン上の拠点機能が完全に修復されるまでに要する時間(復旧時間)と、混乱発生後に需要を満たす供給が継続できる最大の時間(生存時間)の両方を見極めることができます。このサプライチェーンのリスク管理方法の詳細については、MITのデイビッド・シムチレビ(David Simchi-Levi)教授と同教授の研究室に所属する博士課程の学生による以下の論文で紹介されていますのでご覧ください。

From Superstorms to Factory Fires: Managing Unpredictable Supply-Chain Disruptions(巨大暴風雨から工場火災まで:想定外のサプライチェーンの混乱への対処)
hbr.org/2014/01/from-superstorms-to-factory-fires-managing-unpredictable-supply-chain-disruptions(英語のみ)

サプライチェーンのリスクの特定と軽減のために一貫したアプローチの必要性を説いてきたシムチレビ教授は次のように述べています。「次の災害発生時に生活必需品などの供給不足を防ぐためには、グローバル規模でストレステスト基準を確立することが不可欠です。このテストを活用することにより、企業は自社のサプライチェーンのレジリエンスを理解して弱点の特定が可能となり、前例のない混乱が顧客、自社の事業や財務面に及ぼし得る影響を事前に把握し、素早く対処することができるようになるでしょう」

シムチレビ教授の研究の詳細については以下をご覧ください。

アクセンチュアとMITは、「MITとアクセンチュア 業界やテクノロジーのコンバージェンス(融合)に関するイニシアチブ」を立ち上げるなど、長年にわたる提携関係のさらなる強化を図っています。今回の新たな取り組みでは、アクセンチュアの専門家とMITの英知が集結し、業界やテクノロジーのコンバージェンス(融合)が、業界とテクノロジーの融合がビジネスや社会の未来に与える影響について共同で研究を推進しています。

アクセンチュアのシニア マネジング・ディレクターでグローバルサプライチェーン&オペレーションを統括するクリス・ティマーマンス(Kris Timmermans)は、次のように述べています。「新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界中のサプライチェーンに大きな弱点があることが露呈し、深刻な混乱が生じています。一方、その結果として明らかになったのが、透明性に重きを置きながら新たなリスクを予兆し、より迅速な意思決定を可能にするインテリジェントなサプライチェーンの必要性です。本ストレステストでは、企業は40以上のシナリオを同時に実行することが可能で、大規模な混乱時にサプライチェーンがどこでどのような影響を受けるかかつてないレベルの可視化を可能にしました。」

アクセンチュアについて

アクセンチュアは、デジタル、クラウドおよびセキュリティ領域において卓越した能力で世界をリードするプロフェッショナル サービス企業です。40を超える業界の比類のなき知見、経験と専門スキルを組み合わせ、ストラテジー&コンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズサービスを、世界最大の先端テクノロジーセンターとインテリジェントオペレーションセンターのネットワークを活用して提供しています。アクセンチュアは50万6,000人の社員が、世界120カ国以上のお客様に対してサービスを提供しています。アクセンチュアは、変化がもたらす力を受け入れ、お客様、社員、株主、パートナー企業や社会へのさらなる価値を創出します。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、
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MITデータサイエンスラボは、不確実性を伴う統計的学習を必要とする環境下での意思決定を改善する画期的な分析技法とツールを開発しています。同ラボが開発した手法は、航空、保険、製造、小売り、金融などのさまざまな業界で多数の企業に導入されています。MITデータサイエンスラボに関する詳細は以下をご覧ください。
dsl.mit.edu/(英語のみ)

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