アクセンチュア最新調査――患者の大半が新型コロナウイルス収束後もバーチャル診療サービスの利用に前向き

2020/08/06

バーチャル診療のサービス品質について9割の患者が「以前と同等」か「それ以上」と回答

【ニューヨーク発:2020年7月9日】

アクセンチュア(NYSE: ACN)の最新調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、診療や医師とのコミュニケーションを遠隔で行うバーチャル診療サービスを利用する患者が急速に増えており、サービス品質についても患者の9割が「以前と同等」もしくは「それ以上」と高い満足度を示していることが明らかになりました。また、回答者の60%がコロナ禍の経験を通じ、「今後も医療機関とのコミュニケーションや健康管理のためにテクノロジーをより活用していきたい」との意向を示しています。

本調査は新型コロナウイルスが世界的に大流行し、各国で何らかの行動制限措置が実施されていた2020年5月に日本、米国、中国、英国、ドイツ、フランスの6カ国で、腫瘍、心臓病、免疫疾患などを抱える患者計2,700人(各国450人)を対象に実施しました。

各国で行動制限措置が実施されたため、患者たちはどのように受診や治療を継続させるか難しい選択を迫られました。実際に多くの医療機関が予約を取り消し、公共交通機関も一部運休となる中、通院に伴う感染リスクを恐れた患者も多く、全体の70%が「治療の延期または一部取り止めた」と回答しています。

一方、患者のほぼ半数が「通院する代わりに、自宅でビデオ通話サービスやオンラインチャットツール、アプリなどのテクノロジーを利用したバーチャル診療サービスの利用を始めた」と回答しました。このうち、ビデオ通話サービスを利用した患者の63%が「利用して良かった」または「非常に良かった」と満足感を示したほか、70%が「今回初めてビデオ通話を活用した治療を受けた」と答えています。診療や患者とのコミュニケーションにテクノロジーを活用することで、多くの医療機関が医療サービスをこれまでと同等またはそれ以上のレベルに高めることできた点は、非常に興味深い結果です。

多くの患者が新たなツールに満足

アクセンチュアで北米地域のライフサイエンス部門を統括するブラッド・ミッシェル(Brad Michel)は、次のように述べています。「本調査では診療やそれに伴うコミュニケーションのバーチャル化の進展により、診療サービスに対する満足度が向上していることが示されました。バーチャルな診療サービスについてより多くの患者が直接医師と対話ができ、利便性が高くかつ時間の無駄もないと感じています。通院や病院の待合室で順番が来るまで緊張しながら待つ必要がなく、自宅という患者が最も安心できる場所で都合の良い時間に診察が受けられるのです。また、患者の多くが医師から受ける説明の内容が以前よりも質的に改善されたと述べています。」

バーチャルな診療サービスを利用した患者の47%が「より適切で自分の症状に合った説明を受けた」と答えたほか、41%が「迅速に対応してもらった」、40%が「新しいコミュニケーション手段により、前よりも問い合わせしやすくなった」と回答しています。さらに、60%が「医療機関に対する信頼が高まった」、45%が「製薬会社や医療機器メーカーに対する信頼が高まった」と答えるなど、医療制度や業界全体に対する信頼性も向上したことが明らかになっています。

医療制度や業界全体に対する信頼が向上

バーチャル診療は臨床試験の継続にも有効

懸念される点は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの臨床試験が中断されていることです。これに関し、臨床試験に参加している患者の77%が「一時中止、または延期となった」と回答しており、こうした遅れは新しい治療薬の市場投入の遅れにもつながります。

一方で、臨床試験が継続されたケースもあり、これには診察、治療、モニタリングなどでバーチャルな診療サービスを提供したことがカギとなりました。実際に臨床試験への参加を続けた患者の61%が「何らかの形でバーチャルな診療やコミュニケーションを利用していた」と答えています。

前述のミッシェルは次のように述べています。「バーチャルな診療やコミュニケーションの選択肢が増えれば、臨床試験で複数のメリットが得られます。調査では試験に参加している患者の3分の1が、新型コロナウイルスの感染拡大以前から予約や通院に苦労を感じていたと答えています。患者はもっとビデオ通話の利用を増やし、通院を減らしたいと思っています。そうなれば、臨床試験はもっと便利で参加しやすいものになるでしょう。」

患者は臨床試験のあり方にも一言あり

実際に臨床試験の実施プロセスにバーチャル技術が普通に活用されるようになれば、医療現場が混乱した時の対応力が高められるだけでなく、患者自身にとっても治療体験の向上に寄与します。

臨床試験に参加している患者の多くは、自分たちの声をさらに聞いてもらいたいと考えている一方で、実際には臨床試験の設計プロセスに患者が関わることはほとんどなく、蚊帳の外に置かれているのが現状です。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、臨床試験の見直しが行われた時も医療機関から「どのような点を変更するのが望ましいか」と事前に相談された患者はわずか14%にとどまりました。これは診療科目や地域を問わず、共通しています。

アクセンチュアでライフサイエンス部門のグローバル統括を務めるスチュアート・ヘンダーソン(Stuart Henderson)は、次のように述べています。「今回のパンデミックで多くの患者が新しいデジタルツールを採り入れたことにより、診療に対する患者の考え方や期待は変化しました。今の状況を見る限り、バーチャル診療は既に定着しつつあると言えるでしょう。ヘルスケア業界はこうしたトレンドを確かなものとするため、今すぐ人材や時間、資金を投資し、診療や患者とのコミュニケーションのためのツールやプラットフォームを強化していくことが欠かせません。ただし、テクノロジーを活用するだけでは不十分であり、各社は患者に寄り添い、その期待に直接応えるような取り組みを継続する必要があります。」

レポートの全文はこちらからご覧いただけます。(英語のみ)

調査方法

アクセンチュアは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、診療サービスにおける変化、それに伴う患者の反応や患者の希望などを理解することを目的に2020年5月に日本、米国、中国、英国、ドイツ、フランスの6カ国の患者計2,700人(各国450人)を対象に実施しました。なお、調査は治療のために通院が必要だった患者のほか、心血管、免疫疾患/リュウマチ、腫瘍のいずれかの持病を抱え、自宅で投薬治療を行っている患者を対象に行いました。

アクセンチュアについて

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