デジタルのエコシステムは市場を再形成し、企業同士が業界を超えて相互補完する経済を創造することが明らかに――アクセンチュア調査レポート「テクノロジービジョン2015」

2015/02/04

将来のデジタルビジネスに影響を与える5つのテクノロジートレンドを予測

【ニューヨーク発:2015年2月2日】

アクセンチュア(NYSE: ACN)は、世界のテクノロジートレンドに関する最新の年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2015(以下、テクノロジービジョン2015)」において、現在の市場は「We Economy(企業同士が業界を超えて相互に補完し合う経済)」と呼ばれる概念に基づく再形成の過渡期にあり、「We Economy」によって人々の働き方や暮らしに大きな変化が生まれつつあることを明らかにしました。「テクノロジービジョン2015」によると、先進的な企業は、デジタルビジネスが生み出す新たなエコシステムの形成に向けて、異なる業界のデジタルビジネスやデジタルサービスを使う顧客、さらにはネットワークの末端のデジタル機器に至るまで幅広く目を向けています。

こうした先進的な企業は、すでに最新のテクノロジーを活用したデジタルビジネスへの転換に着手し、自社の強みとデジタルの力を融合させて市場の再形成に力を注いでいます。そして、単独の組織としてではなく、エコシステムの中で企業同士が相互に補完し合う「We Economy」を成長させることで、各社が自社の強みを最大限に発揮して収益を拡大することができるとしています。

「We Economy」への転換は、アクセンチュアが世界2,000人以上のIT担当役員および経営幹部を対象に実施した調査の中で明らかになっています。同調査では、5人中4人の回答者が、「将来、プラットフォームが産業を再形成し、各業界を相互に連携させるエコシステムを生み出すことで、業界の垣根は取り払われるだろう」と回答しています。また、回答者の60%は「同じ業界内で新たなパートナーと協業する計画がある」と回答しているのに対し、40%は「デジタル技術に関して他業界と提携する計画がある」、48%は「デジタル技術のプラットフォームを提供する先進企業との提携を計画している」と回答しています。

アクセンチュアの最高技術責任者(CTO)であるポール・ドーアティは、次のように述べています。「アクセンチュアは昨年のテクノロジービジョンで、大企業が経営の効率化を図り、新たな市場への参入やパートナーとの提携、顧客対応、取引管理の手法を変革するために、デジタル技術を活用していかに市場で復権を果たすかということを説明しました。デジタル技術が経営構造のDNAにしっかりと根付いた今、こうした大企業は次世代の商品やサービスの開発、またより大きな変革を生み出す新たなビジネスモデルを創造し、デジタルビジネスのエコシステムをさらに活用することで、自社の領域をますます拡大させています。」

組み込みデバイスが既存のインターネット環境内で繋がるなど、インダストリアル・インターネット・オブ・シングス(Industrial Internet of Things、以下IIoT)は急速に普及しています。「テクノロジービジョン2015」では、こうした中で、各企業がどのようにデジタルのエコシステムを活用して、新たなサービスや顧客体験の提供、また新市場への参入を行っているかについての最新事例を紹介しています。

アクセンチュアの調査によると、回答者の35%はすでに他社が公開するAPI*1を活用してビジネスパートナーとデータ統合などの連携を進めており、38%は連携を計画中であることが分かりました。例えば、米国のホームセンター大手ホーム・デポ(Home Depot)は、メーカーと連携して自社が販売するすべてのスマート家電に、ソフトウェア企業「ウィンク(Wink)」製のスマート家電システムとの互換性を持たせました。これにより、独自のスマート家電のエコシステムを作り、新たなサービスとユニークな体験をウィンクの顧客に提供することが可能になりました。

同様に、オランダの電機大手フィリップス(Philips)は、セールスフォース・ドットコム(salesforce.com)と連携しながら、ヘルスケア分野におけるサービスの再形成や最適化のためのプラットフォーム構築に取り組んでいます。両社が構想中のプラットフォームによって、開発者のエコシステムが生まれ、今後ヘルスケアの全領域において医師と患者の円滑なコミュニケーション、および診察や診断後のスムーズな作業フローを可能にするヘルスケアアプリケーションの開発が進むでしょう。これを実現させるためには、カルテの電子化だけでなくフィリップスの画像機器やモニター機器、パーソナル端末から得られる診断や治療の情報、各種技術を取り入れた壮大なエコシステムが必要です。

「テクノロジービジョン2015」では、ホーム・デポやフィリップスなどデジタルのエコシステムを活用する先進企業が、自社だけでは成し得なかった手法で新たな収益源の創造に成功した事例が紹介されています。また、未来のデジタル市場を担うキープレイヤーに共通して見られる5つの新たなテクノロジートレンドにも焦点を当てています。

*1:アプリケーション・プログラム・インターフェースの略。異なるアプリケーションを連携させて使用するための技術仕様。

調査方法

毎年発表されるアクセンチュアの「テクノロジービジョン」は、アクセンチュア・テクノロジー・ラボによって作成されます。今回は調査にあたり、公的機関や民間企業、研究機関、ベンチャーキャピタル、新興企業に所属する20名以上の幹部と実業家で構成されるテクノロジービジョン外部諮問委員会から情報を収集しました。また、テクノロジービジョンの編纂チームが、テクノロジー分野の有識者や業界の専門家、アクセンチュアの経営幹部に対して100件近くのインタビューを行いました。また同チームは、興味深い新しいテクノロジーのテーマを発見するために、アクセンチュアのコラボレーション技術とクラウドソーシングを用いたオンラインコンテストを実施し、アクセンチュアの専門家たちから提供される膨大な知見と革新的なアイデアを活用しました。このコンテストには1,700人以上の社内の専門家が参加し、貴重なアイデアを提供するとともに、他者の意見に対して投票しました。

同時に、アクセンチュア・リサーチは、新しいテクノロジーの採用に関する知見を得るために、9カ国、10の業界にわたる2,000人の企業幹部およびIT担当役員を対象に調査を行い、主要な課題と優先的に採用、投資すべきテクノロジーを明らかにしました。主な回答者は、少なくとも5億ドルの売上がある企業の経営幹部であり、大多数の企業は60億ドル以上の売上があります。

アクセンチュアについて

アクセンチュアは、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業です。約31万9,000人の社員を擁し、世界120カ国以上のお客様にサービスを提供しています。豊富な経験、あらゆる業界や業務に対応できる能力、世界で最も成功を収めている企業に関する広範囲に及ぶリサーチなどの強みを活かし、民間企業や官公庁のお客様がより高いビジネス・パフォーマンスを達成できるよう、その実現に向けてお客様とともに取り組んでいます。2014年8月31日を期末とする2014年会計年度の売上高は、300億USドルでした(2001年7月19日NYSE上場、略号:ACN)。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、
アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jpをご覧ください。

【問い合わせ先】

アクセンチュア株式会社
マーケティング・コミュニケーション部
増田 繁夫
TEL: 045-330-7157(部門代表)
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