アクセンチュア、企業のモビリティ活用に関するグローバル調査結果を発表

2013/03/13

CIOの約8割がモビリティは企業の収益拡大に欠かせない要素と回答し、IT予算の継続的かつ大規模な投資意向が明らかに

【ニューヨーク発

:2013年2月25日】 アクセンチュア(ニューヨーク証券取引所:ACN)が新たに実施した調査によると、多くのCIO(最高情報責任者)がスマートデバイスなどのモビリティを活用していくことは、自社の収益拡大や顧客エンゲージメント強化のために欠かせない要素であり、モビリティ活用のために今後、自由裁量予算の31~40%を投資する意向であることが明らかになりました。2012年の調査では、同規模の投資をすると回答したのはわずか19%でした。

「2013年アクセンチュアCIOモビリティ調査」(The Accenture 2013 CIO Mobility Survey)は、日本を含む世界14カ国、413名のCIO(最高情報責任者)およびIT部門の上位役職者を対象に、企業におけるモビリティの重要度や優先事項、導入課題の特定を目的に実施されました。

本調査によると、回答者の79%が「モビリティは自社の収益拡大に欠かせない要素」であると答えました。また84%はモビリティが「顧客との接点を強化する」と回答し、83%は「自社のビジネスに大きな影響を与える」と回答しました。さらに、3分の1以上(34%)のCIOは「モビリティは今後1年間の最優先事項」であり、42%のCIOは「最優先課題の5つのうちの1つ」と回答しました。また、事例インタビュー調査から得た結果では、「モバイルファースト」という考え方で新たなITプロジェクトに取り組んでいる企業が多いことも明らかになりました。

モビリティに求める要件については、「データへの即時アクセス/即時収集/即時処理を実現し、自社のフィールドサービス/顧客サービスを改善すること」(43%)がトップに挙げられ、「モバイル端末を活用したサービスによって顧客エンゲージメントの強化につなげること」(36%)という回答が次に続きました。また29%は「B to Bアプリケーションに対応するネットワーク接続機器を設計、開発または配布する予定がある」と回答しました。

モビリティがビジネスに与える影響度については、73%のCIOが「1990年代後半のウェブ革命と同じくらいか、それ以上である」と回答しました。これは、アクセンチュアが昨年実施した調査での数値(67%)を上回るものです。さらに、半数近くのCIO(46%)は、今後1年以内に「業務フローを改善してモビリティを活用したビジネスモデルを確立する」と答えています。

アクセンチュアのシニア・マネジング・ディレクターであるジン・リーは、次のように述べています。「企業がモビリティの可能性をこれまで以上に高く評価していることに期待できる一方で、企業は今後、モビリティを活用する領域をより明確に定義することが求められます。端末は常にネットワークにつながっていることを念頭に置き、どのように高度なモビリティを実現できるのかという視点で、現状と目標のギャップを分析しなくてはなりません。費用対効果や適切な予算配分、社員の育成やモビリティの専門家の雇用も視野に入れ、モビリティ戦略の立案から開発・導入を支援する外部専門家の活用なども検討すべきです。」

全社的なモビリティ戦略への取り組みについて

今回の調査で「モビリティ戦略がある程度に展開されている」と回答したのは、調査対象企業の半数以上(58%)でした。また、「モビリティ戦略が広範にわたって展開されている」と回答した企業は約4分の1(23%)で、昨年の31%から8%減少しました。これは、企業の戦略が加速するモビリティの技術進化や普及のスピードに追随できておらず、戦略策定の前に実行を求められている状況を示しています。

広範にわたってモビリティ戦略が展開されていると回答した企業が多かったのは、中国(50%)、イタリア(47%)、ブラジル(37%)でした。モビリティ戦略の実施状況にはばらつきが見られるものの、調査対象企業の半数(50%)は「優先すべきモビリティ課題を今後1年にわたって特定する」と回答しており、昨年の41%から上昇しました。また、多くの回答者は「モビリティ戦略においてスマートフォンへの対応が必須である」(85%)が答えています。一方、「タブレット端末への対応」についても78%が必須であると回答しており、スマートフォン同様、個人のタブレット端末を仕事用に使う従業員が増加していることや企業がタブレット端末を業務用端末として導入していることを示しています。

さらに本調査では、高度なモビリティ戦略に必要な3つの重要項目として、「モバイル端末の管理」(27%)、「既存システムとの連携」(25%)、「知識の共有」(23%)が挙げられました。企業ITにおける優先項目を尋ねる質問では、中国(53%)、イタリア(53%)、インド(50%)の回答者がモビリティを優先項目の上位2つの中の1つとして挙げており、イギリス(67%)、日本(57%)、フランス(52%)では、モビリティを上位5つの中の1つとして挙げています。

「データへの即時アクセス/即時収集/即時処理によって、フィ―ルドサービスおよび顧客向けサービスを改善するように企業努力を集中させる」と回答したのは、インドでは回答者の大半(77%)で、日本、メキシコ、イギリスでも半数近く(47%)に上りました。消費者向けのモビリティ・サービスの優先事項としては、インドおよびイギリスでは回答者の63%が「モバイル端末を介した処理を可能にし、収益を拡大させる」を挙げ、アメリカ(36%)がこれに続きました。

企業にとっての課題は人材、セキュリティ対策、システム連携、BYOD

調査対象企業の52%は既存の人材を活かしてモビリティ戦略を実施すると回答し、37%はモビリティ専門家を新たに雇用すると答え、市場におけるモビリティ人材の需要が極めて高いことがわかります。さらに本調査では、今後、モバイル向けアプリケーションの開発要員を社内から登用するプロジェクトが増える(2013年76%、2012年63%)ことも明らかになりました。また、モバイル向けアプリケーションの開発アプローチについては、ネイティブアプリケーション並みの処理をブラウザ上で実現するHTML5などの標準ウェブ技術が主流になるなか、「ネイティブアプリケーションとウェブアプリケーションの両方のアプローチが必要であった」と約半数(49%)のCIOが回答しています。

企業におけるモビリティ導入に影響を与える主な障壁は、「セキュリティ」(45%)、「費用対効果」(41%)、「システムとの連携」(31%)が上位に挙げられています。「セキュリティ」のみならず「システムとの連携」が課題として浮上していることは、既存の企業システムがモビリティに対応できておらず、今後変革が必要であることを示しています。

また、個人のモバイル端末を会社に持ち込むことを意味する「BYOD(Bring Your Own Device)」については、半数以上の企業(59%)が従業員に対するサポートが限定的であると答え、全面的にサポートしているのは約4分の1(28%)に過ぎないことが分かりました。

アクセンチュアのシニア・マネジング・ディレクターであるジン・リーは次のように述べています。「企業のIT部門は、職場環境に持ち込まれる様々なモバイル端末をサポートする方法を模索しなくてはなりません。そのためにモビリティに関する高度な専門知識は欠かせません。外部の専門家を活用して自社のモビリティ戦略を立案、開発または改善計画を行っている企業は、2012年には27%であったのが、2013年には40%と大幅に増加しており、モビリティに関する専門的な知見やノウハウが一層求められています。」

自動車、保険、医療業界は、今後1年以内にモビリティの最優先課題を解決する見込み

自動車、保険、医療業界では、回答者の全員(100%)が、「今後1年以内にモビリティの最優先目標を達成する」と回答しています。自動車業界では、モビリティ戦略実現のための最優先目標としてモビリティによる「支払いなどの商取引」を実現させること(54%)を挙げており、保険業界では48%、医療業界では46%が「位置情報サービス」を提供することを挙げました。さらに通信業界ではM2M(機器間通信)をモビリティの優先事項として挙げており、67%の企業が「今後1年以内に何らかの形態でM2M通信を実現する」と回答しました。

その他の注目すべき調査結果:

調査方法

アクセンチュアでは2012年12月から2013年1月にかけて、世界14カ国(日本、オーストラリア、ブラジル、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、メキシコ、ニュージーランド、スペイン、イギリス、アメリカ)の14産業にわたって413名のIT部門責任者(CIO、CTO、テクノロジー/IT部門ディレクター、チーフ・モビリティ・オフィサー)を対象に、オンライン調査を実施しました。年間収益10億~50億米ドルの企業に勤務する調査回答者は53%、5億~10億米ドルは42%、2.5億~5億米ドルは6%でした。

レポートの全文は、www.accenture.com/us-en/insight-mobility-cio-survey-2013(英語のみ)でご覧いただけます。

アクセンチュアについて

アクセンチュアは、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業です。25万9千人の社員を擁し、世界120カ国以上のお客様にサービスを提供しています。豊富な経験、あらゆる業界や業務に対応できる能力、世界で最も成功を収めている企業に関する広範囲におよぶリサーチなどの強みを活かし、民間企業や官公庁のお客様がより高いビジネス・パフォーマンスを達成できるよう、その実現に向けてお客様とともに取り組んでいます。2012年8月31日を期末とする2012年会計年度の売上高は、279億USドルでした(2001年7月19日NYSE上場、略号:ACN)。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、
アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jpをご覧ください。

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