2024/03/19

アクセンチュア最新調査――経営幹部と従業員の間で、生成AIに対する認識の違いが明らかに

AIの可能性を最大限に引き出すために、業務の再構築、従業員の育成、人員配置の最適化が必要

【ニューヨーク発:2024年1月16日】 アクセンチュア(NYSE:ACN)の最新調査によると、企業の経営幹部は、生成AIは企業の業務や役割に大きな影響を与える可能性があると考えており、企業全体で業務プロセスの再設計や従業員体験の向上に向けた生成AIの活用拡大が急務と捉えていることが明らかになりました。

今日、企業の経営幹部には、経済的価値の創出、ビジネス成長の加速、従業員体験の向上に向けた、新たな手法による企業変革が求められています。しかし、経営幹部の3分の2は、生成AIを活用した全社改革を主導するために必要な、テクノロジーに関する知識や変革リーダーシップを有していないと回答しています。

アクセンチュアの最新調査レポート「Work, workforce, workers: Reinvented in the age of generative AI(邦題:生成AIがもたらす企業全体の再創造)」では、生成AIの可能性に対する見解や信頼度について、企業によって大きな差異があることを示しています。そして、従業員の95%は生成AIの活用に価値を見出しているものの、同時に約60%が失業への不安やストレス、疲弊を感じています。

この調査結果は、職場におけるAIの影響に関する従業員と経営幹部の認識の違いを示しています。従業員の約60%がAIによって仕事が奪われることを心配する一方、従業員の仕事が奪われることを心配している経営幹部は3分の1以下でした。また、4分の3の企業は、生成AIの活用を従業員の成果向上と従業員体験につなげる戦略がありませんでした。

従業員のエンゲージメントを高め潜在能力を引き出すことをテーマとしたアクセンチュアによる過去の調査「CARE TO DO BETTER」を踏まえたこの最新レポートでは、教育や学習支援、福利厚生の充実などを通じた従業員の「Net Better Off(正味幸福度の向上)」の実現が、変革における企業と従業員との信頼構築や円滑なAI導入につながることを示しています。この幸福度が高い上位4分の1の従業員は、AIなどのテクノロジーを仕事に応用する際の信頼感が相対的に高いことも分かりました。

アクセンチュアの最高リーダーシップ兼人事責任者のエリン・シュック(Ellyn Shook)は、次のように述べています。「企業の成長は、新たな変革手法を模索し、その実行を推進する経営幹部によってもたらされます。経営幹部自身が、生成AIの活用を進め、価値を創造し、すべての人に働きやすい環境を提供することが必要です。そのためには、まず自社の従業員が働く喜びを感じているかどうかについて問うことが重要です。これは従業員の潜在能力を引き出し、事業の成長を促すだけでなく、従業員が信頼感をもって生成AIと協働する道を開くことにもなります。これからどんなことが起こるかは私たち次第であり、最良の結果を生み出すのは私たち自身なのです」

変革をリードする「リインベンターズ(再創造企業)」
「トータル・エンタープライズ・リインベンション(企業全体の再創造)」を進めている先進的な企業「リインベンターズ」はわずか9%であり、これらの企業は、従業員の生成AI活用の習熟度を高め、その可能性を最大化し、収益を向上させています。これらリインベンターズの半数以上は、生成AIを軸に業務や役割を再設計し、人員配置を最適化するための行動を起こしています。また、4分の3は企業変革の実現に向けて、従業員の積極的な関与を促しています。さらに、47%のリインベンターズは、全社的な目線で変革を捉えており、生成AIを最大限に活用するには、自社の業務プロセスを抜本的に変え、再構築する必要があることを認識しています。

アクセンチュアのチーフ・テクノロジーおよびイノベーション・オフィサーであるポール・ドーアティ(Paul Daugherty)は、次のように述べています。「生成AIは、これまでに登場したどのテクノロジーよりも大きなインパクトをもっています。私たちの調査では、AIによる業務支援や自動化のみならず、生成AIを活用しバリューチェーン全体を再創造していくことの必要性が示されています。AIを最大限に活用するには業務プロセスを見直し、従業員を変革に向けて導き、そして従業員体験を向上させるための戦略を俯瞰的に捉え、検討する必要があります」

先進的な企業は、再創造戦略の一環として従業員のスキルマップ策定と人材データ統合に投資し、変化に迅速に対応する人材の育成にも取り組んでいます。これによって従業員と事業双方の成長を両立するために必要なスキルの組み合わせを予測し、洞察を得ています。また、これらの企業は、従業員のソフトスキルとテクノロジースキルの向上に投資する傾向が2倍高く、また、今後3年間で労働生産性が20%以上向上する可能性が2倍高いという結果となりました。このような変革アプローチを採用した場合、企業は2038年までに、さらに10兆3,000億ドルのグローバル経済価値を創出することが可能であると考えられます。

このような取り組みは、経営トップが先導する必要があります。大きな変化をもたらすには、トップが従業員全員に対して、企業全体の再創造とも言える変革を見据えたときに必要となるスキルの方向性を示すべきです。調査対象の従業員の94%が、AIスキルを学ぶ用意があると回答していますが、大規模なトレーニングを提供している企業はわずか5%です。AIがデータと人間との相互作用の中で学習することを踏まえると、機械に「教える」役割を担う人間が、その能力を伸ばし、「教えることで学ぶ」文化を育成することが極めて重要です。

新しい働き方が生まれ、さらに進化する中、従業員による変革への積極的な関与を促し、そこで生じる懸念事項を理解し、それを解決する行動を起こして信頼を築くといった、人を中心とした変革アプローチは、業績と企業文化の両面で先進的な企業を際立たせるでしょう。

AIを導入した企業が、どのように自社と従業員の成長を実現させるかについては、「Work, workforce, workers: Reinvented in the age of generative AI(邦題:生成AIがもたらす企業全体の再創造)」のレポート全文をご覧ください。

調査方法
本レポートの考察は、2つの調査手法に基づいています:(1)生成AIと仕事に関するマクロ環境、労働、業界のトレンドを幅広く理解するうえでの経済モデリング、データ分析、グローバル調査、(2)詳細な聞き取り調査などを通じて、従業員個人と企業レベルでの仕事における体験、マインドセット、アプローチを分析

調査やインタビューなどを通して、24業種を代表する大企業(年間売上高10億米ドル以上)の7,000人以上の経営幹部と5,000人以上の従業員からデータを取得しました。なお、これらの企業の本社は19カ国(日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、アイルランド、イタリア、メキシコ、オランダ、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国)に及びます。なお、対象業種は、宇宙・防衛、航空、旅行・運輸、自動車、銀行、キャピタルマーケット、化学、通信・メディア、消費財・サービス、エネルギー、金融サービス、食品流通、健康、ハイテク、ホスピタリティ、工業製品・設備、保険、ライフサイエンス、天然資源、専門サービス、公共サービス、小売、ソフトウェア・プラットフォーム、公益事業の24業種。詳細は、レポート全文に記載された「Research methods」をご覧ください。

アクセンチュアについて
アクセンチュアは、世界有数のプロフェッショナル サービス企業です。アクセンチュアは、世界をリードする企業や、行政機関をはじめとするさまざまな組織の中核にデジタル技術を実装することで、組織運営を最適化し、収益を拡大させ、また市民サービスの向上にも貢献するなど、お客様に対して目に見える成果を圧倒的な規模とスピードで創出しています。 アクセンチュアでは、優れた才能でイノベーションを主導する約743,000人もの社員が120カ国以上のお客様に対してサービスを提供しています。 また、テクノロジーが変革の成否を分ける時代において、世界中のエコシステム・パートナーとの緊密な連携を図りつつ、クラウド、データ、AIおよび業界ごとの比類のなき知見、専門知識や、グローバル規模のデリバリー能力を最適に組み合わせながらお客様の変革を支えています。アクセンチュアは、ストラテジー&コンサルティング、テクノロジー、オペレーションズ、インダストリーX、ソングの領域をまたぐ、幅広いサービス、ソリューションやアセットを活用して成果につなげています。アクセンチュアでは、成功を分かち合う文化や、360度でお客様の価値創造を図ることで、長期にわたる信頼関係を構築しています。またアクセンチュアは、お客様、社員、株主、パートナー企業、社会へ提供している360度での価値創造を、自らの成功の指標としています。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.com/us-enを、
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川上 雄一郎
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