アクセンチュア、マイクロソフト社と共同で、国際的なデジタル認証プログラム「ID2020」を支援するブロックチェーン・ソリューションを開発
2017/06/29
【ニューヨーク:2017年6月19日】
アクセンチュア(NYSE:ACN)は、国際的な認証プログラム「ID2020」支援の一環として、ブロックチェーンとバイオメトリクス認証技術を活用したソリューションをマイクロソフト社と共同で開発しました。今日、全世界では11億人以上の人々が自身の存在を証明する公的手段を持っていないと推定されています。ID2020は、個人認証における課題を解決するために設立された、国際的な官民パートナーシップです。
公的な個人認証手段を持たないために、文化、政治、経済などの社会生活に参加できていない人々は、世界人口のおよそ6分の1と推定されています。教育、医療、選挙、銀行、モバイルコミュニケーション、住宅、福利厚生や介護保障などにおいて、公的な個人認証は社会活動に参加し、サービスを受けるために必要不可欠です。ID2020は安全で確立されたシステムの活用により、包括的なテクノロジーを採用したデジタル認証の実現を目標としています。
アクセンチュアは、マイクロソフト社およびアバナード社とのパートナーシップのもと、ブロックチェーン技術に基づく認証システムのプロトタイプを開発しました。このデータベースシステムの採用により、極めて高い秘匿性と安全性を確保しながらも、複数の機関による同一データへのアクセスおよび情報共有を可能にしました。
このプロトタイプは、アクセンチュアのブロックチェーンにおける知見、ならびにバイオメトリクス認証技術を用いた大規模な開発と導入経験を生かして構築され、マイクロソフト社が提供する可用性が高く、かつセキュアでグローバルなパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で稼働します。個人情報へのアクセスおよび開示・共有のための権限は、その個人情報にアクセスが許された個人の承認を条件に付与できるように設計されています。また、このプロトタイプは非中央集権型の分散型データベースを採用しているため、中央機関が介在することなく、事前の承認を得た複数の関係者による維持管理が可能です。加えて、このプロトタイプでは個人の認証データは保持しない仕組みとなっていますが、認証の対象となる個人の事前承諾により、オフチェーンの既存システムとの連携も可能です。なお、アクセンチュアとマイクロソフト社はこれまでも、ID2020の創設アライアンスパートナーとして資金や技術資源を提供しています。このプロトタイプのデモンストレーションは、6月19日に国連本部で開催されたID2020サミットにおいて発表されました。
アクセンチュアのグローバル・ブロックチェーン事業でマネジング・ディレクターを務めるデイヴィッド・トリート(David Treat)は次のように述べています。「公的な個人認証手段を持たない人々が、現代社会から除外され、不利益を被っている状況にあります。私たちが開発したプロトタイプは、プライバシーの確保やで秘匿性に優れているだけでなく、どこからでも確認できる利便性を備えています。紙文書の悪用や紛失の心配は不要で、個人が必要な時に適切な情報にアクセスでき、共有できるのです。」
プロトタイプのアーキテクチャ
このアクセンチュアのプロトタイプは、既存の認証システムと相互連携できるため、個人認証データは常にオフチェーンに格納されます。この仕様は、マイクロソフト社が創設メンバーである分散型ID認証ファウンデーション(Decentralized Identity Foundation)の原則に準拠するほか、エンタープライズ・イーサリアム・アライアンスのプライベート・ブロックチェーン、およびパーミッション型ブロックチェーン(管理者によるアクセス制限が設定された)のプロトコルを採用しています。
公的な個人認証の手段を持たない人々が直面する課題の解決に向けて、アクセンチュアは「ユニーク・アイデンティティ・サービス・プラットフォーム」を活用して、指紋や虹彩などの生体データ管理を行う画期的なバイオメトリクス認証システムを提供しています。この技術により、難民の個人認証情報の提供が可能となり、必要な時に必要な場所で、迅速な難民支援を受けることが可能になりました。現在、アクセンチュアのプラットフォームは、国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees)が利用するバイオメトリクス認証管理システムの中核として採用され、アジア、アフリカ、カリブ諸島など29カ国130万人以上の難民を対象に運用されています。このシステムは、2020年までに対象を75カ国700万人以上の難民支援に拡大することが期待されています。
マイクロソフト社でグローバルビジネス・ストラテジストを務めるヨーク・ローズ(Yorke Rhodes)氏は次のように述べています。「個人認証は国際的な最重要課題の一つであり、マイクロソフト社と民間団体がそれぞれの得意分野を生かし、独自の方法で貢献できる領域であると考えています。私たちはアクセンチュアと共同でMicrosoft Azureのグローバル性・柔軟性・安全性を活用したID2020支援を推進し、見過ごしてはならない国際的課題の解決に貢献できることを、大変うれしく思います。」
プロトタイプの開発プロジェクトは、アクセンチュアが研究・新規事業支援の拠点としてアイルランドに新設したThe Dockの学際的チームが推進しました。デザイナー、ソフトウェアエンジニア、ブロックチェーンなどの専門家が結集し、アイデアの具現化に取り組みました。
The Dockに拠点を置く、アクセンチュアの「フィヨルド(Fjord)デザインスタジオ」でグループ・ディレクターを務めるローナ・ロス(Lorna Ross)は次のように述べています。「今回のプロジェクトは、全世界で多くの社会的弱者が直面している課題に対して、デザインとテクノロジーによって解決できることを証明した、非常に優れた事例となりました。自身の存在を証明する公的手段を持っていない人々が存在しています。彼らの個人認証手段を保障する取り組みにおいて、このプロジェクトが国際的な活性化の起点となることを私たちは望んでいます。」
ID2020コンソーシアムでは、政府機関、NGO、技術者および官民団体の専門家が協力し、セキュアで拡張性があり、かつサステナブルな方法をもって技術イノベーションの導入と実現を検討しています。アクセンチュアは、同様のプログラムにおいて重要な役割を果たしてきただけでなく、難民支援パートナーシップ(Partnership for Refugees)においても、創設企業かつコンサルティングパートナーとして戦略コンサルティング、プロジェクト管理、デジタルサービスなどを無償で提供しています。難民支援パートナーシップでは、50社以上の企業に対して、難民が抱える問題への理解を促すとともに、教育、雇用、サービスの側面から効果的な対応策の実現を推進しています。
アクセンチュアのNGO事業でグローバルリードを務め、難民支援パートナーシップとの協働を主導するマーティ・ロジャース(Marty Rodgers)は次のように述べています。「デジタル技術の活用により世界の人々の働き方や生活様式を向上させ、人類にとって最も緊急性の高い課題を解決することは、アクセンチュアが掲げる企業目標の一つです。ID2020はアクセンチュアとパートナー企業が協力して、国際社会で最も弱い立場にある人々を支援する取り組みの一例なのです。」
アクセンチュアについて
アクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験と専門スキルなどの強みを生かし、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお客様にサービスを提供する41万1,000人以上の社員が、イノベーションの創出と世界中の人々のより豊かな生活の実現に取り組んでいます。
アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、
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