アクセンチュア、企業のモビリティ活用に関する最新調査結果を発表

2014/07/30

日本企業にとってモビリティはデジタル化のための最優先事項
グローバル先進企業は全社戦略としてモビリティ活用を推進

【東京発:2014年7月30日】

アクセンチュアが新たに実施した調査によると、多くの日本企業がデジタルテクノロジーにおける最優先事項を「モビリティ」であると考えている一方で、全社的モビリティ戦略を推進できていないことが明らかになりました。

「2014年アクセンチュアMobility Insight」は、日本の回答者100名を含む世界13カ国、1,475名の企業経営幹部(CIO、CMO、CTO、テクノロジー/IT部門ディレクター、チーフ・モビリティ・オフィサー)を対象に、企業におけるモビリティの重要度や優先事項、導入課題を特定することを目的に2013年12月から2014年1月に行われたオンライン調査です。

本調査で日本企業が優先するデジタルテクノロジーの上位2位以内として挙げたのは、モビリティ(54%)、アナリティクス(26%)、クラウド(22%)、ソーシャル(15%)という結果になりました。半数以上の日本企業がモビリティをデジタルテクノロジーにおける最優先事項ととらえていることが分かりました。また、「モビリティへの投資は自社にとっての戦略投資である」と考える企業は、グローバルで78%、日本においても73%に達しています。さらに、グローバルにおいては76%、日本においては78%の回答者が「次年度IT予算計画において、全IT予算の25%までの範囲でモビリティへの投資を行う」と回答しており、多くの企業が、モビリティ活用に対する具体的な行動意思を示していることが分かります。

日本企業が、次年度に予定しているモビリティ適用領域として優先順位が高いのは、B to C(企業と消費者間取引)の領域においては「アナリティクスによって、顧客に関するより深い洞察を得る(67%)」、および「これまでアクセスできなかった、新たな市場へリーチする(67%)」という結果になりました。次に、「モバイル特有の商品やサービスを提供する(65%)」が続きます。一方、B to B(企業間取引)の領域では、「フィールドサービスや顧客サービスを、リアルタイムデータによって改善する(75%)」、「セールスサイクル改善のために、バックエンドシステムへのアクセスを提供する(65%)」、「収集したデータから得られた示唆を、商品やサービスの改善に利用する(65%)」が上位3つに挙げられました。こうした結果から日本企業の多くがモビリティをはじめとするデジタルテクノロジーによって、顧客接点強化や自社商品/サービスの改善だけではなく、新規ビジネス創出や新たな市場進出に意欲的であることが分かります。

しかし、「過去2年間に行った投資額に対して、既に100%以上のリターンを回収済みである」と回答した企業はグローバル平均で10%、日本においてはわずか4%に留まっています。未だ限定的ですが、既に100%以上の投資対効果を回収済みと回答したモビリティ先進企業には次のような共通点があることが明らかになりました。100%以上の費用対効果を回収済みの先進企業では「全社的なモビリティ戦略を策定している」と回答した割合が、そうでない企業よりも11%高い結果となりました。一方で50%未満の費用対効果しか回収できていない企業では、「事業部門別にモビリティ戦略を策定している」と回答した割合が100%以上の費用対効果回収済みの企業よりも10%も高くなっています。こうした結果から、成功をおさめている企業においては、モビリティ活用が単なる事業部門内における戦略ではなく、クロスファンクショナルな全社戦略として位置付けられていることが分かります。

アクセンチュアでは本調査結果を受け、日本企業がモビリティをはじめとするデジタルテクノロジー導入の成果を最大化していくために必要な取り組みの方向性を以下のようにまとめました。

CEOをはじめとする経営層の関与

グローバル先進企業では、CEO(最高経営責任者)や経営陣が最終的にモビリティ戦略を承認し、取り組みに積極的に関与している傾向が見られます。モビリティ戦略策定にあたって、経営の総責任者であるCEOの関与を得ていると回答した企業は、日本企業において32%となりました。しかし、グローバルの先進マーケットに目を向ければ、中国(56%)、アメリカ(52%)、フランス(40%)、ドイツ(40%)、韓国(40%)という結果であり、日本企業を大きく上回る結果になります。デジタル化を推進していくうえでは、全社を俯瞰したうえでデジタルテクノロジーによる改革が見込めそうな領域を特定し、重要度と緊急度の観点から優先順位の高い施策を取捨選択することが欠かせません。

モビリティ戦略実行の推進体制の整備
デジタル化戦略の実行フェーズでは、経営層、事業部門、機能ユニット、IT部門を含め、立場や役職が異なる組織や人々を横断的に巻き込み、それぞれが持つ知見をすり合わせてゆくプロセスが求められます。実行計画のスコープは広範であり、ステークホルダーも多いことから、初めから完璧な計画を策定することは容易ではありません。こうしたなか、企業にはデザイン思考型アプローチなどの新たなプロセスで施策を実行する組織体制や人材が求められるようになります。本調査結果からは「モビリティ戦略を正しく実行に移す上で欠かせないスキルや経験を持った人材を社内に有している」と答えた企業は、日本企業では全体の29%、グローバル企業でもわずか30%に留まっています。期待した効果創出を実現するために必要なスキルを有した人材を社内外から獲得することがモビリティをはじめとするデジタル施策の成否を分ける重要な要素になります。

モニタリングと俊敏な軌道修正

デジタル戦略の実行状態を把握するために自社専用の定量的な指標を設計し、実装・運用していくことはデジタル化を成功させるために欠かせないことです。しかし、そうしたモニタリングプロセスを具現化していると答えた企業は、日本においてはわずか10%にとどまっています。グローバルの先進市場では、イギリス(24%)、中国(23%)、カナダ(21%)、アメリカ(19%)という結果となり、未だ改善の余地はあるものの日本企業の結果を引き離しています。デジタル戦略を成功に導くには、まずデジタル化の実行状況を定点観測しながら、課題を早期に発見していくことが重要です。さらに柔軟に軌道修正を行いながら、自社にとってのあるべき姿を見つけ出す継続的で俊敏な取り組みが必要になってきます。

アクセンチュア デジタル・コンサルティング本部 モビリティ サービス グループ統括 マネジング・ディレクター 丹羽 雅彦は次のように述べています。「多くの日本企業はデジタルテクノロジーを重要視しており、特にモビリティの活用に関しては具体的な投資の意思を示しています。しかし、不確実性が高い現在のグローバル経営環境のなかで日本企業が生き延び、成長していくためにはさらに高い次元でモビリティなどのデジタルテクノロジーを活用していくことが必須です。デジタルとは単なるテクノロジーのテーマではなく企業変革のための経営課題です。日本企業においては、経営トップ層がデジタル戦略策定に関与し、全社的なデジタル戦略を策定していくことが求められているのです。」

「2014年アクセンチュアMobility Insight」ウェブサイト
https://www.accenture.com/Microsites/mobility-japan/research/Pages/mobility-insights-report-2014-infographic

ウェブサイト「2014年アクセンチュアMobility Insight」調査レポート全文
https://www.accenture.com/Microsites/mobility-japan/research/Pages/mobility-insights-report-2014

「モビリティ・ソリューション」特設サイト
https://www.accenture.com/mobility/jp

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